いいところを見習われただけで、我々としてはその次の手を考えなかったというのが、失われた十年になってきたということでございます。 自動車の始まりはドイツだと言いましたけれども、ドイツにはマイスター制度というのがございます。
ドイツのマイスター制度というものは非常に立派なもので、いまだにその考え方・システムが残っております。 これは職人とか、あるいは匠技(たくみわざ)ということで、名人芸のようなものでございます。
日本人も非常に勤勉で、例えば技能オリンピックというところで優勝をしたりということがありましたけれど、最近はだんだんそういう名人芸・職人芸が薄れて参りました。 現在は誰でも作れるような作り方、誰でも作れる機械。
そういうふうなもの、それから誰でもいろんなことがやれる。 いわゆる多能工というふうに言われますけれども、そういう考え方が入って参りました。
その辺も絡めて、トヨタ生産方式がどんなものなのか、あるいはどういうものなのかということを、もっと詳しく皆さんに聞いてもらって、日本とアメリカ、日本とヨーロッパの文化の違い・考え方の違いを、現在、二十一世紀のエクセレント・カンパニーとはどういう会社かということで、市場価値観の多様化という話がしきりに起こっています。 それから経営資源どうも皆さん、こんにちは。
私どもの会長からほめすぎの紹介をいただきまして、ちょっと照れ臭いところがあるのですが、少しは皆さんのお役に立ちたいと思いまして、モノづくりの世界のお話をさせていただきます。 グローバル化。

各企業がいま中国・ヨーロッパ・アメリカ、その辺でいろんな合弁会社を作っています。 経営資源がかなりグローバル化きれている。
調達も、常に安いところから運ぶという世界に、いまなっています。 それから集団主義から個人主義の世界になりつつある。
これは、皆さんもそうだと思いますがパソコンとかEメールなどで、ほとんどの方々が自分の世界に閉じこもりがちだという時代になっているからだと考えます。 それから終身一雇用の崩壊と。
今までは終身雇用は当たり前のようになっていました。 日本でもだんだん成果主義になってきました。
その結果、年功序列ではなく、実力の世界になってきてます。 この傾向はさらに強くなっていくと考えます。
エクセレントカンパニーヘの条件エクセレントカンパニーとして残るための条件。 独自技術・サービスによる製品の差別化・高付加価値化、そういうことをやっていかないと生き残れないという時代です。
特に現在、技術の投資関係を調べてみます日本のモノづくりのベースですけれども、歴史的な変革を見ますと、大きく二つあります。 明治維新と第二次世界大戦。
この二つの変革時、日本の政治家の中には立派な人がおられました。 明治維新には薩長の人々が明治維新という世界を一気に乗り切って富国強兵、そういった政策で日本を立派にしてきました。
日本には徒弟制度というものが江戸時代からございます。 欧州にも、マイスターという制度があります。
これはもう全くの職人芸。 昔の日本の徒弟制度と同じです。

だから日本とドイツというのは極めて近い環境にあったのです。 その結果、第二次世界大戦ではドイツと結びついて大きな戦争を起こしました。
第二次世界大戦後、そこにもやはり吉田茂さんという立派な政治家がおられました。 その結果、第二次世と、アメリカが約二十六兆円、日本が十八兆円。
ドイツ・イギリスが日本の約三分の一です。 ただ特許の出願件数になりますと、日本はイギリスやドイツに比べまして三倍の技術費用を投資していますが、中身を調べますと特許は一・六倍しか出てない。
もうアメリカの十分の一です。 特に遺伝子工学関係ではアメリカに大差を付けられています。
いま日本の産学協同で、アメリカにどうしても勝ちたいといって、取り組まれているのがナノの世界です。 ナノというのは十のマイナス九乗メーターという非常に小さい世界。
そういった技術をアメリカには絶対勝ちたいということで、いま取り組まれています。 そして高いブランドの知名度がないとモノが売れないのです。

もうひとつ重要なのが、国内企業との提携を含めた低コスト構造です。 先ほども言いましたように安い物を持ってきてもやはりモノづくりがちゃんとしてないと、いい製品が安くできません。
あとは柔軟性とスピードを兼ね備えたような経営力・リーダーシップ、それから株主・従業員・顧客の利益が一致するような経営が絶対必要であると考えます。 フォードから取り入れた理念が二つございます。
フォードはその当時コンベア方式の流れ作業になっていた。 現在どこのカーメーカーさんも、全部コンベア方式になっています。
コンベア方式を採ろうとすると、だいたい一ラインに、四百人ぐらいが掛かっています。 かなり長いコンベア・ラインなのでかなり金がかかります。
流れ作業のいいところは部品が止まらないこと。 次から次へと部品が流れていきます。
すると中間仕掛品(しかかりひん)がほとんどなくなります。 その結果、倉庫が要らなくなります。
ランニング・コストが減って、余分な金が出ていかなくなります。 買うのは、当時からだいたい約束手形でお金を払っていました。
買った物の金を払う前に自動車が売れて、お金は回収されます。 だから人のお金で商売をやっていました。
利息は一銭もかかりません。 そして支払いはあとになりますから、返ってきたお金を銀行に預ければ利子がつきます。
すると運転資金が要らないという、そういうシステムがこのトヨタ方式の特徴であります。 「毎日必要な数だけ作る。

余分に作らない。 」そこで「ジャスト・イン・タイム」という言葉が生まれてき界大戦後も、日本は大きな復興を興して、世界でも優秀な国だと言われるようになったのです。
ただ、第二次世界大戦後、日本は何をやったかといいますと、やはりアメリカに学べ、アメリカの良さを吸収せよという話が中心になっていました。 特に自動車関係で見ますと、フォードがその勉強の対象です。
一九五○年頃、フォードは一日当たり八千台の車を作っていました。 トヨタは一日当たりたかだか四十台。
規模でいうと二百分の一ぐらいです。 だから八千台作る作り方と、四十台作る作り方とではまったく違いました。
そういう環境から、トヨタ生産方式が生まれてきたわけです。 トヨタいわく「技術的にはその当時、劣っているとは思わなかった。
ただ、フォードは作る物が多かっただけだ」と。 「技術的には劣ってないけれど金がない」と。

そこで「知恵で勝負しないといけない」ということでトヨタ生産方式が生まれてきました。 ました。
「ジャスト・イン・タイム」いうのは正式には「ジャスト・オン・タイム」でないと英語の世界では通じない。 だけどいまは全世界で「ジャスト・オン・タイム」でなくて「ジャスト・イン・タイム」で通じるようになっています。
それほどトヨタ方式が、全世界に展開されてきています。 日米の労働組合を比較しますと、アメリカの労働組合はクローズド・ショップ(職種別労働組合)。
あの職種別の労働組合です。 日本の場合はユニオン・ショップで全員がまず組合員にならなければいけないことになっています。
私の経験では、アメリカヘニヵ月間、生産準備でョ夕自身がこの当時、労働争議が起こっており、初代社長の豊田喜一郎さんが、会社を辞めないといけないというような、大きな労働争議が起こっていました。

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